
こんにちは。RO-KIです。夏が近づくと琵琶湖で湖水浴やSUPなどのレジャーを楽しむ計画を立てる方も多いですよね。そこでふと気になるのが、海と同じようにクラゲに刺される心配はないのか、という点ではないでしょうか。また、湖岸で緑色のブヨブヨした謎の物体を見かけて正体が気になっている方もいるかもしれません。実は琵琶湖には不思議なクラゲや、それと間違われやすい生き物が存在します。今回は、安心して遊ぶための知識や地元ならではの面白い情報をまとめてみました。
- 琵琶湖での湖水浴におけるクラゲ刺されのリスクと安全性
- 湖で見かける緑色でブヨブヨした巨大な物体の正体
- 淡水に生息する珍しいマミズクラゲの特徴と見られる時期
- 滋賀県の特産品である食べられる姉川クラゲの秘密
琵琶湖での湖水浴におけるクラゲ刺されのリスクと安全性

まずは皆さんが一番気になっているであろう、安全面についてのお話です。「琵琶湖で泳いでいてクラゲに刺されることはあるの?」「あのゼリー状のものは何?」という疑問を解消していきましょう。結論から言うと、海のような危険はほとんどありませんが、知っておくと安心なポイントがいくつかあります。
湖水浴でクラゲに刺される危険性

夏のレジャーといえば、やっぱり気になるのが「毒を持つ生き物」ですよね。海に行くとカツオノエボシやアンドンクラゲといった、刺されると激痛が走る危険なクラゲに注意が必要ですが、琵琶湖の場合はどうなのでしょうか。
実は、琵琶湖には人間に害を与えるような危険な有毒クラゲは生息していません。ですので、お子様連れで湖水浴をする際も、クラゲに刺されるリスクに関してはほぼゼロと考えて大丈夫です。これは淡水である琵琶湖の大きなメリットの一つですね。
ただし、全く「クラゲ」がいないわけではありません(後ほど詳しく紹介します)。それでも、彼らの毒は非常に微弱で、人間の皮膚を貫通して痛みを感じさせるほどの力はないと言われています。私自身も琵琶湖で長く遊んでいますが、クラゲに刺されて痛い思いをしたという話は聞いたことがありません。
一般的な海と琵琶湖のリスク比較
| 項目 | 一般的な海(海水浴) | 琵琶湖(湖水浴) |
|---|---|---|
| 有毒クラゲ | あり(カツオノエボシ等) | なし(危険生物不在) |
| 刺されるリスク | 時期により高い | 極めて低い |
| 肌の不快感 | 塩分でベタつく | 淡水でサラサラ |
ここがポイント
琵琶湖の湖水浴は「クラゲ除けローション」や「完全防備のラッシュガード(刺傷対策としての)」がなくても安心して楽しめるのが魅力です。
琵琶湖でクラゲが出る時期はいつ?
危険はないとお伝えしましたが、「それでも生き物として見てみたい!」という方もいるかもしれませんね。琵琶湖に生息する「マミズクラゲ」という小さなクラゲが出現する時期は、主に水温が上がる夏から秋にかけてです。
具体的には7月頃から11月頃にかけて目撃されることが多いようです。特に水温が最も高くなる8月下旬から9月にかけてがピークだと言われています。ただ、毎年必ず同じ場所に現れるわけではなく、その年の水温や環境条件によって発生状況が大きく変わるため、「神出鬼没」な存在なんですよ。
生息する種類はマミズクラゲだけ

琵琶湖にいる「本物のクラゲ」は、基本的に「マミズクラゲ」という1種類だけだと思って良さそうです。このクラゲ、実はめちゃくちゃ小さいんです。
成体になっても傘の直径はわずか2cm程度。半透明で可愛らしい姿をしていて、一生懸命ピコピコと泳ぐ姿はとても癒やされます。もともとは外来種と考えられていますが、今では日本全国の池や湖で見つかっています。
彼らは普段、目に見えないほどの小さな「ポリプ」という状態で水草や石にくっついて生活しています。水温などの条件がバチッと揃った時だけ、クラゲの姿になって水中に現れるんです。だからこそ、「幻のクラゲ」なんて呼ばれることもあるみたいですね。
豆知識
マミズクラゲは、流れの速い場所よりも、水が滞留しているワンド(入り江)や、周辺のダム湖、ため池などで見つかることが多いです。
緑でブヨブヨした物体の正体とは

さて、ここからが本題という方も多いかもしれません。SNSや検索でよく見かける「琵琶湖に巨大なクラゲがいる!」「緑色のブヨブヨが気持ち悪い」という情報の正体についてです。
湖岸を歩いていると、ソフトボールくらいの大きさ、時には1メートル近くにもなるゼリー状の巨大な塊を見かけることがあります。半透明でちょっと茶色っぽかったり、緑色に見えたりするあの物体。実はあれ、クラゲではありません。
多くの人が「巨大クラゲ」だと誤解しているその物体の正体は、主に2つの可能性があります。
- オオマリコケムシ(巨大な寒天質の塊)
- アオコ(植物プランクトンが吹き寄せられて固まったもの)
特に「ゼリー状でしっかりした塊」の場合は、十中八九「オオマリコケムシ」です。
謎の生物はゼリー状のコケムシ
この「オオマリコケムシ」、名前を聞くとなんだか植物(苔)や虫のようですが、実は「外肛動物(がいこうどうぶつ)」というグループに属する生き物です。
私たちが目にするあの巨大な塊は、1匹の生き物ではなく、1.5mmほどの小さな個虫(こちゅう)が無数に集まった「群体(コロニー)」なんです。彼らは寒天質を分泌して身を守りながら、皆で集まって生活しています。北米原産の外来種で、昭和40年代以降に日本各地に広まりました。
注意点
オオマリコケムシ自体に毒はありませんが、見た目がグロテスクで、腐敗すると独特の悪臭(腐った卵のような臭い)を放つことがあります。見つけても素手で触ったり、棒でつついたりせず、そっとしておくのが一番です。
釣りをする人にとっては、ルアーに引っかかると重たいし臭いしで、なかなかの嫌われ者だったりします。もし見かけても「お化けクラゲだ!」と怖がらず、「ああ、これがコケムシの集まりか」と冷静に観察してみてくださいね。
琵琶湖のクラゲに関する文化と楽しみ方
ここまでは生物としてのクラゲや、それと間違われる生き物について解説してきましたが、ここからは少し視点を変えて、「見る」「食べる」といった文化的な側面から琵琶湖のクラゲに迫ってみたいと思います。
琵琶湖博物館で展示を見る方法

先ほど紹介した本物の「マミズクラゲ」、自然界で見つけるのは運次第ですが、確実に見たいなら滋賀県立琵琶湖博物館がおすすめです。
博物館の水族展示室にある「マイクロアクアリウム」などのコーナーでは、時期によってマミズクラゲの展示が行われていることがあります。専用の円筒形水槽で、水流に乗ってふわふわと泳ぐ姿を拡大して観察できるので、その繊細な美しさに驚くはずです。
ただし、生き物ですので常設展示されているとは限りません。お出かけ前には博物館の公式サイトやSNSで最新の展示状況をチェックすることをおすすめします。
自宅でのマミズクラゲ飼育の難易度
「こんなに可愛いなら家で飼ってみたい!」と思うアクアリウム好きの方もいるかもしれません。しかし、マミズクラゲの飼育は極めて難易度が高いことで知られています。
まず、彼らの体は非常に脆く、普通の網で掬っただけで自重で崩れてしまうほど。さらに、エアレーション(ブクブク)の気泡が傘の中に入ると浮力調整ができなくなって死んでしまいます。水流の調整もシビアで、強すぎると弱り、弱すぎると沈んでしまいます。
そして何より、塩素(カルキ)に非常に弱いため、水道水を使うには徹底した水質管理が必要です。長期飼育はプロの水族館でも難しいと言われているので、もし運良く採集できたとしても、数日観察できればラッキーくらいの気持ちでいるのが良いでしょう。
滋賀には食べる姉川クラゲがある

「琵琶湖 クラゲ」と検索すると、「食べる」「料理」といったキーワードが出てきて驚いたことはありませんか?「あのブヨブヨしたコケムシを食べるの!?」と誤解されがちですが、全く違います!
滋賀県、特に長浜市の姉川(あねがわ)流域には、古くから伝わる「姉川クラゲ」という食材が存在します。名前に「クラゲ」と付いていますが、これは動物のクラゲではなく、「イシクラゲ」という陸生の藻類(藍藻)の一種なんです。
姉川クラゲという食材の歴史と特徴

姉川クラゲは、普段は地面に乾燥した状態で張り付いていますが、雨が降って水分を含むと、ワカメやキクラゲのようにプルプルに膨らみます。この食感がクラゲに似ていることから「姉川クラゲ」と呼ばれるようになったそうです。
かつては飢饉の際の「救荒食(きゅうこうしょく)」として重宝された歴史があり、酢の物や和え物にして食べられてきました。最近では、その栄養価の高さや機能性(コレステロール抑制など)が再評価され、大学との共同研究で「姉川くらげそば」などの新メニューも開発されているようです。
グルメ情報
動物のクラゲとは全く別物ですが、コリコリとした食感は珍味として人気があります。道の駅などで加工品を見かけたら、ぜひ滋賀の歴史の味として試してみてください。
琵琶湖のクラゲを安全に楽しむまとめ
今回は琵琶湖に生息するクラゲをテーマに、湖水浴の安全性から謎の物体の正体、そして食文化まで幅広くご紹介しました。
- 琵琶湖には有毒なクラゲはおらず、湖水浴は安全。
- 本物の「マミズクラゲ」は2cm程度で無害、レアな存在。
- 巨大なゼリー状の物体は「オオマリコケムシ」(無毒だが触らないのが吉)。
- 食べるクラゲは「姉川クラゲ」という藻類(伝統食材)。
「クラゲ」というキーワード一つとっても、琵琶湖にはいろいろな側面があって面白いですよね。正しい知識を持っていれば、湖水浴で過度に怖がる必要もありませんし、湖岸散策もより興味深いものになるはずです。この夏はぜひ、琵琶湖の不思議な生き物たちにも注目しながらレジャーを楽しんでみてくださいね!