琵琶湖の水はどこから来る?水源117本の川と近畿を支える仕組み

「琵琶湖の水はどこから来る?水源117本の川と近畿を支える仕組み」。周囲の山々から無数の青い光の川が琵琶湖に注ぎ込み、そこから大きな川が遠くの都市群へ流れていく様子を描いたイラスト。前景には豊かな森と清らかな湧き水があり、水を汲む人物が描かれている。

近畿に住んでいる人なら、蛇口をひねるたびに琵琶湖の水がどこから来ているのかと、ふと疑問に思ったことがあるかもしれませんね。

滋賀県民にとっても、当たり前すぎて意外と知らないのがこの水の正体。
水がなくなる心配はないのか、実は誰のものなのか、そんな疑問に寄り添いながら、今回は琵琶湖の水のルーツを詳しく追いかけてみました。

この記事を読めば、毎日使っている水のありがたみが、ちょっとだけ変わるかもしれませんよ。

滋賀県の琵琶湖と周囲の山々から流れ込む多数の河川を捉えた航空写真。巨大なすり鉢状の地形が理解できる。※画像はイメージです

  • 琵琶湖に注ぎ込む117本の河川と地下水の秘密
  • 季節によって変化する水の蒸発と貯蓄の驚きの仕組み
  • 明治時代からの歴史が紡ぐ京都や大阪への供給ルート
  • 私たちが支払う税金が水源の森を守っているという事実
目次

琵琶湖の水はどこから来る?117本の流入河川と水源

まずは物理的なルーツから見ていきましょう。
琵琶湖は巨大な「すり鉢」のような地形の底にあり、周囲の山々から無数の水が集まってくる仕組みになっています。

安曇川や野洲川など滋賀県全域から流入する河川の構造

琵琶湖の水の源流を語る上で欠かせないのが、滋賀県全域に張り巡らされた河川ネットワークです。
滋賀県の面積の約93%が琵琶湖の集水域になっていて、降った雨や雪のほとんどが湖に集まるようになっています。

驚くべきはその数で、なんと117本もの一級河川が琵琶湖に流れ込んでいます。
大きな川だけでなく、名前も知らないような小さな川が一本一本、琵琶湖という巨大な心臓に血液を送る血管のような役割を果たしているんですね。

滋賀県高島市を流れる安曇川の風景。川底の石が透けて見えるほど清らかな水が流れている。※画像はイメージです

主な河川名 流れる地域 特徴
安曇川 湖西(高島市) 流入水量が最大級で、非常に清冽な水。
野洲川 湖南(野洲市・守山市) 流域面積が最大。「近江太郎」の異名を持つ。
姉川 湖北(長浜市) 伊吹山系を源流とし、広大な田畑を潤す。
愛知川 湖東(東近江市) 鈴鹿山脈から豊かな土砂と水を運ぶ。

これら無数の川が各地から水を運んでくるおかげで、どこか一つの地域で雨が少なくても、湖全体としての貯水量が安定しているというのは、まさに自然の絶妙なバランスだなと感じます。

針江の湧き水や地下水が支える湖底からの供給ルート

琵琶湖の水源は、目に見える川だけではありません。実は「地下水」という見えない水源も大きな役割を持っています。
特に高島市の針江地区などは「生水の郷」として有名ですが、山に降った雨が地面に染み込み、長い時間をかけて濾過されながら湖へとたどり着きます。

滋賀県高島市針江地区にある、湧き水を利用した生活用水システム「カバタ」で野菜を洗う女性の様子。※画像はイメージです

カバタ(川端)文化の知恵
針江などでは、湧き水を生活に利用する「カバタ」という仕組みが今も残っています。
この綺麗な水が最後には琵琶湖の湖底から湧き出し、湖全体の水をリフレッシュさせているんですよ。

このように土壌を通ってきた水は適度なミネラルを含んでいるため、琵琶湖の水質を維持するうえで非常に大切な存在だといえます。
まさに「天然のフィルター」を通った贅沢な水が、常に補給されているようなイメージですね。

冬場に水位がなくなる?蒸発のメカニズムと水収支

「水がどこから来るか」を知ると、逆に「どこへ消えるのか」も気になりますよね。
実は琵琶湖、毎年かなりの量の水が「蒸発」によって失われています。

面白いのが、暑い夏よりも秋から冬にかけての方が蒸発量が多いという点です。

なぜ冬に蒸発するの?
巨大な琵琶湖は一度温まると冷めにくい性質があります。
冬の冷たい空気が温かい水面に触れると、露天風呂から湯気が立つように、どんどん水分が空中に逃げていってしまうんです。

冬に水位が下がりやすいのは、雨や雪の量だけでなく、この目に見えない蒸発が関係しているんですね。
自然のサイクルの中で、絶えず水が出入りしている様子がよくわかります。

琵琶湖の水はきれいか汚いか滞留時間の長さから解説

ここでちょっと気になるのが水質の話。
「琵琶湖の水はきれいなの?」という疑問をよく耳にしますが、これには「滞留時間」という考え方が重要です。
一度琵琶湖に入った水が外に流れ出るまで、どれくらいの時間がかかると思いますか?

実は、北湖の水が完全に入れ替わるには約5.5年から19年もの歳月が必要だと言われています。
川のようにすぐ流れていくわけではなく、じっくりと湖の中に留まっているんです。

この「時間の重み」があるからこそ、一度汚れると回復が大変なんです。
私たちはこの長い時間をかけて循環する水を、大切に預かっているという感覚が必要かもしれませんね。

直接湖面に降る雨や雪が水位管理に与える影響

最後に忘れてはならないのが、湖面そのものに直接降る雨です。
琵琶湖の面積は約670平方キロメートル。滋賀県の約6分の1を占める広さですから、ここに直接降る雨は、そのままダイレクトに水位を押し上げます。

台風や梅雨の時期、川からの流入を待つまでもなく、「直接降雨」によって一気に水位が変わることもあります。
この巨大な水面が、天からの恵みをそのまま受け止める巨大な「受け皿」になっているわけです。

自然のダイナミズムを肌で感じる部分ですね。

琵琶湖の水はどこから届く?利水と管理の歴史

ここまでは自然の話でしたが、次は「人間がどうやってこの水を利用しているか」という社会的な側面を見てみましょう。
琵琶湖の水は、滋賀だけでなく近畿全体の命綱になっています。

琵琶湖の水は誰のもの?法的な水利権と洗堰の役割

琵琶湖から瀬田川への流出量を調節する巨大な「瀬田川洗堰」の全景。ゲートから水が放流されている。                    画像引用:公益財団法人 滋賀県文化財保護協会 HP

よく「琵琶湖の水は滋賀のもの?」という議論になりますが、法律的には「公共の財産」とされています。
ただ、その流出をコントロールしている「瀬田川洗堰(あらいぜき)」の存在は極めて大きいです。

洗堰は、下流の大阪や京都を洪水から守りつつ、必要な水を届けるための「蛇口」のような役割をしています。
昭和や平成の時代には、水位の管理を巡って滋賀県と下流域の間で激しい交渉もありました。

現在のルールは、上下流が納得できるバランスの上で成り立っている、まさに平和の象徴とも言える設備なんです。

明治に開削された琵琶湖疏水が京都の水道を支える

京都の南禅寺境内にある琵琶湖疏水の水路閣。明治時代に建設されたレンガ造りのアーチ橋を水が流れる。                   画像引用:日本遺産 琵琶湖疏水 HP

京都の街へ琵琶湖の水を届けているのが、明治時代の歴史的遺産「琵琶湖疏水(そすい)」です。
当時の京都は産業が衰退しつつありましたが、この疏水によって水運が発達し、日本初の営業用送電も始まり、京都は見事に復活を遂げました。

驚くべきは、100年以上前のインフラが今も現役で、京都市民の飲み水のほとんどを供給していること。
先人たちの情熱と技術が、今も私たちの生活を支えていると思うと、胸が熱くなりますね。

水止めたろかの名言から学ぶ滋賀と京阪神の絆

滋賀県民がつい言ってしまう「琵琶湖の水止めたろか!」というフレーズ。
これ、実は滋賀と京都・大阪の深い絆(あるいは愛あるイジり)の裏返しでもありますよね。

実際には洗堰の操作権は国にありますし、簡単に止めることはできません。
でも、このジョークが成立するのは、下流域が琵琶湖に100%依存しているという圧倒的な事実があるからです。

お互いに支え合っている関係を再確認するための、近畿地方特有のコミュニケーションなのかもしれません。

琵琶湖森林づくり県民税で守られる山々の保水力

滋賀県の琵琶湖水源地域にある豊かな森の風景。苔むした地面と清らかな沢が、高い保水力を示している。※画像はイメージです

「水はタダじゃない」という話にも少し触れておきましょう。
滋賀県では、水源となる森を守るために「琵琶湖森林づくり県民税」を導入しています。
個人の場合、年間800円を負担して、山を整備しているんです。

手入れをしないとどうなる?
森が荒れると地面が固くなり、雨水が染み込まずに一気に流れてしまいます。
すると土砂崩れが起きたり、渇水時に水が足りなくなったりします。

私たちが支払う税金が、「緑のダム」を維持する費用になっているんですね。

この仕組みのおかげで、美味しい水が未来まで守られていることを、もっと多くの人に知ってほしいなと思います。

大阪や神戸の住民が依存する淀川水系の供給構造

さて、具体的にどれくらいの人が琵琶湖の水に頼っているのでしょうか。
数字で見るとその凄さがわかります。

都市名 琵琶湖・淀川水系への依存度 備考
京都市 約99% ほぼ琵琶湖の水そのもので生活。
大阪市 約97% 淀川(琵琶湖の出口)が主要水源。
神戸市 約75% 遠くから運ばれてくる水が支柱。

なんと近畿圏の約1,450万人がこのシステムに依存しています。
もし琵琶湖がなかったら、大阪や京都の都市機能は止まってしまうといっても過言ではありません。

滋賀県の山々に降る雨が、1,450万人の喉を潤している……壮大な話ですよね。

まとめ:琵琶湖の水がどこから来るか知る意義

琵琶湖の水がどこから来ているのかを探っていくと、それは単なる地形の話ではなく、「自然の恵み」「先人の努力」「現在の共生」という3つの層でできていることがわかりました。

  • 周囲の山々と117本の川、そして湧き水という自然のルーツ
  • 疏水や洗堰といった、水を分かち合うための歴史的・技術的ルーツ
  • 森林づくり税などで水源を育む、私たちの社会的なルーツ

次に蛇口から水を使うとき、「あ、これはあの鈴鹿山脈や伊吹山に降った雨なんだな」とか「あの琵琶湖疏水を通ってきたんだな」と想像してみてください。
きっと、いつもの水が少しだけ特別なものに感じられるはずです。

※数値データや管理規則は一般的な目安です。
正確な最新情報は滋賀県公式サイトや水資源機構のHPをご確認ください。

水利権などの法的な判断については、専門家にご相談されることをおすすめします。

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