琵琶湖一周は何キロ?自転車や車での距離と所要時間を解説

青空の下、琵琶湖の湖岸道路を走るサイクリストの集団と自動車。

こんにちは。RO-KIです。滋賀県が誇る日本一の湖、琵琶湖。「いつかは自転車で一周してみたい!」「今度の休みにドライブで回ってみようかな」そんなふうにビワイチに憧れを抱いている方は多いのではないでしょうか。でも、いざ計画を立てようとすると、まず最初にぶつかるのが「一体、何キロあるの?」という素朴かつ重要な疑問ですよね。自転車でガッツリ走るのか、車で快適にドライブするのか、はたまた自分の足で歩いて挑むのか。移動手段によって、体感する距離や必要な時間はまるで別物になります。特に体力に自信がない初心者の方や、初めて滋賀を訪れる方にとっては、この「距離感」がつかめないと、完走できるか不安で夜も眠れない…なんてことになりかねません。

実は「琵琶湖一周」と一口に言っても、選ぶルートによって距離は大きく変動しますし、季節や風向きによって「進まなさ」も変わってくるんです。私自身も何度もビワイチを経験していますが、初めてのときは距離を見誤って日没後に真っ暗な道を走ることになり、怖い思いをした経験があります。今回は、そんな皆さんが安心して最高のビワイチ体験をプランニングできるよう、コースごとの正確な距離データや、手段別のリアルな所要時間、そして地元の人間だからこそ知っている「数字には表れない距離の壁」について、詳しく丁寧にお話ししていきたいと思います。

  1. フルビワイチと北湖一周の違いによる具体的な走行距離
  2. 自転車や車など移動手段ごとの現実的な所要時間
  3. 初心者におすすめのルート設定と無理のないペース配分
  4. 事前の準備で失敗を防ぐための計画のポイント
目次

琵琶湖一周は何キロ?コースごとの距離内訳

「ビワイチは何キロ?」と聞かれたとき、地元の人やサイクリストの間でも答えが微妙に違うことがあります。「200キロだよ」と言う人もいれば、「150キロくらいかな」と言う人もいる。これは、どこをどう走るかという「ルート定義」が人によって異なるからなんです。公式なデータに基づく数字と、実際に現場で体感する数字、その両面からビワイチの距離構造を紐解いていきましょう。

北湖と南湖で変わるビワイチの距離

琵琶湖の北湖(ほっこ)エリアの湖岸道路を、ロードバイクで快走するサイクリストの様子。信号がなく、湖と山並みが続く自然豊かな風景が広がっている。

まず結論から申し上げますと、琵琶湖を完全にぐるっと一周する、いわゆる「フルビワイチ」の距離は、約200kmと考えておくのが最も正解に近いです。「約」とつけたのには理由があります。

国土交通省によって、日本を代表する「ナショナルサイクルルート」の一つとして指定されているビワイチですが、その公式発表されている延長距離は「193km」となっています。これは、サイクリング推奨ルート(ブルーライン)に沿って最短距離で計測した場合の数値です。

(出典:国土交通省『ナショナルサイクルルート(ビワイチ)』

しかし、私たち一般のサイクリストや観光客が実際に走ると、193kmで収まることはまずありません。なぜなら、素晴らしい景色に出会って湖岸に寄り道をしたり、お腹が空いて少し内陸のレストランへ向かったり、あるいは単純に道を間違えて戻ったりするからです。さらに、宿泊施設やスタート地点の駐車場までの往復も含めると、走行ログ(GPSデータ)はだいたい200km〜210kmを示すことがほとんどです。ですから、計画を立てる際はギリギリの193kmではなく、余裕を持って「200km」と認識しておくことが、精神的な余裕にもつながります。

琵琶湖の形を思い出してみてください。ひょうたんのような形をしていますよね。このくびれ部分にある「琵琶湖大橋」を境にして、北側の広いエリアを「北湖(ほっこ)」、南側の小さいエリアを「南湖(なんこ)」と呼びます。フルビワイチというのは、この北湖と南湖の両方を、一番外側の湖岸道路に沿って走るルートのことを指します。

北湖と南湖の距離比率

200kmの内訳をざっくり言うと、北湖が約150km、南湖が約50kmというバランスになります。圧倒的に北湖の方が大きいんですね。この距離感は、東京駅から箱根の芦ノ湖までを往復する距離、あるいは東京から静岡までの片道距離に匹敵します。淡路島一周(アワイチ)が約150kmですので、ビワイチはそれよりも一回り大きく、関西エリアのサイクリングコースとしては最大級のスケールを誇ります。

「ビワイチ」の定義の広がり
かつては「ビワイチ=200km完全一周」を指す言葉でしたが、最近では初心者への普及活動も進み、後述する「北湖一周」だけでも立派な「ビワイチ達成」として認められるようになってきています。滋賀県が発行する「ビワイチサイクリング認定証」でも、北湖一周コースでの申請が可能ですよ。

初心者に最適な北湖一周コースの距離

「自転車で200kmなんて、アスリートじゃないんだから無理!」そう感じた方も多いはずです。安心してください。実は、これからビワイチデビューをする初心者の方に私が最も強くおすすめしているのが、「北湖一周(キタイチ)」と呼ばれるルートなんです。

このルートの距離は、約150km〜160kmです。フルビワイチから南湖の約40km〜50km分をカットする計算になります。「たった40kmの違い?」と思われるかもしれませんが、この40kmのカットには、数字以上の大きな意味があります。

北湖一周ルートは、守山市や大津市堅田(かたた)にある「琵琶湖大橋」を渡ることで成立します。この橋をショートカットとして利用することで、交通量が多く信号だらけの南湖エリアをパスし、信号が少なく自然豊かな北湖エリアだけに集中して走ることができるのです。

なぜ150kmが初心者向けなのか

距離が短いから楽、という単純な話ではありません。「信号停止の回数」が劇的に違うのです。自転車、特にロードバイクやクロスバイクにとって、最も体力を消耗するのは「発進と停止」の繰り返しです。南湖エリアは市街地なので数百メートルごとに信号がありますが、北湖エリア(特に湖東から湖北にかけて)は、数キロメートルにわたって信号がない区間も珍しくありません。

一定のペースでペダルを回し続けられるため、疲労の蓄積が少なく、結果として150kmという長距離でも、平均時速15km〜18km程度で走れば、朝出発して夕方にはゴールできる可能性が高いのです。これが「事実上の標準ルート」として推奨される最大の理由です。

琵琶湖大橋の歩道を、自転車(ロードバイク)を押して歩くサイクリストの様子。橋の高さと勾配、そして眼下に広がる琵琶湖と対岸の街並みが確認できる。

北湖一周ルートの特徴まとめ

  • 距離: 約150km〜160km(東京〜富士市くらい)
  • 所要時間(自転車): 休憩込みで約8〜10時間(初心者は12時間見ておく)
  • メリット: 信号が少なく走りやすい。湖本来の自然景観が続く。
  • 注意点: ショートカットに使う「琵琶湖大橋」は、一番高いところで湖面から26mもあり、結構な急坂(ヒルクライム)になります。無理せず自転車を押して歩くのも戦略の一つです。

 琵琶湖一周を徒歩で歩く際の実質距離

最近、テレビ番組やYouTubeの影響もあってか、「徒歩でビワイチ」に挑戦する猛者が増えています。歩き旅というのは、自転車や車とは全く異なる「距離の重み」を感じる体験です。基本的には自転車と同じ湖岸道路を歩くことになるため、ベースとなる距離はフルコースで約200km、北湖のみで約150kmと考えて問題ありません。

しかし、徒歩ならではの「距離の罠」が存在することをご存知でしょうか。

1. 宿泊地への移動距離が加算される

自転車なら少しコースを外れて数キロ先のホテルへ向かうのは造作もないことですが、徒歩の場合、コースから2km離れた宿へ向かうだけで往復4km、つまり約1時間のロスになります。ビワイチのルート上には、必ずしも都合よく宿があるわけではありません。特に湖北エリア(西浅井、マキノ周辺)や湖西エリアでは、ルートから外れた場所に宿をとらざるを得ないケースが多く、結果として総歩行距離が220kmを超えてしまったという話もよく聞きます。

2. ショートカットの誘惑と不可避な迂回

徒歩の場合、自転車では通れない階段や歩道橋を使えるため、局所的なショートカットは可能です。しかし逆に、自転車なら車道をスイスイ走れる場所でも、歩道が整備されていないために安全を考慮して大きく迂回しなければならない箇所もあります。特にトンネル周辺などは要注意です。例えば、賤ヶ岳(しずがたけ)トンネル付近などは、歩行者の安全確保のために旧道の峠越えを選択した方が良い場合もあり、そうなると距離も登坂の負荷も増します。

3. ペース配分と時速の見積もり

Googleマップで経路検索をすると、歩行速度は通常「時速5km」で計算されます。しかし、重いリュックを背負い、何日も歩き続けるビワイチにおいて、時速5kmを維持するのはアスリート並みの体力が必要です。足のマメや疲労、天候の影響を考慮すると、現実的な計画値は「時速3.5km〜4km」です。1日30km進むのに、休憩を含めると8〜9時間はかかると覚悟してください。200kmを歩き切るには、単純計算でも50時間以上の歩行時間が必要となり、5泊6日、あるいは週末ごとの分割(セクションハイク)で数ヶ月かけて達成するのが一般的なスタイルです。

夜間歩行のリスク
距離を稼ごうとして夜まで歩くのは非常に危険です。湖岸道路には街灯が全くない区間が多く、歩道も狭いため、車からの視認性が極端に悪くなります。必ず日没までに宿に着くスケジュールを組みましょう。

車で琵琶湖一周ドライブする際の走行距離

ドライブで琵琶湖一周を楽しむ場合、走行距離メーターはやはり約200km前後を示します。「車なら200kmなんて3〜4時間でしょ?」と思われるかもしれませんが、ビワイチドライブはそう単純ではありません。信号の少ない快適なバイパス区間と、観光客が集中して全く動かなくなる渋滞区間が混在しているからです。

主なルートとしては、湖岸を走る「さざなみ街道(湖岸道路)」や、湖西側の「国道161号線(湖西道路など)」を利用します。これらの道路は信号が少なく、快走できる区間が多いのが特徴です。特に湖東エリア(草津〜長浜方面)のさざなみ街道は、右手に伊吹山、左手に琵琶湖を望みながらの素晴らしいドライブコースです。

距離以上に時間を食う「渋滞ポイント」

琵琶湖の白鬚神社前で発生している車の渋滞の様子を、車内から撮影した写真。湖中の鳥居が見え、道路を横断する観光客のために車列が停止している。

しかし、距離の数字には表れない「魔の区間」が存在します。代表的なのが、湖西エリアにある「白鬚神社」周辺です。湖中に立つ鳥居が映えスポットとして大人気なのですが、神社の前の道路は片側一車線で、横断歩道のない場所を観光客が行き来するため、週末や連休には数キロにわたる激しい渋滞が発生します。ここで1時間以上ロスすることも珍しくありません。

また、京都方面へと続く湖西道路(国道161号バイパス)も、夕方の帰宅時間帯には慢性的に大渋滞します。200kmという距離は、高速道路なら2時間半ですが、観光を含めた下道のビワイチドライブでは、移動だけで5〜6時間、食事や観光を含めると丸一日(8〜10時間)仕事になります。「意外と遠いな」というのが、実際にドライブした方の多くの感想です。

車でのビワイチ距離・時間目安
項目 数値 備考
走行距離 約190km〜210km 立ち寄りスポットにより変動
運転時間 約4〜6時間 ノンストップの場合(渋滞なし)
所要時間 約8〜10時間 食事・観光休憩を含む現実的な時間

 南湖のみを一周するルートの距離と特徴

最後にご紹介するのは、琵琶湖大橋より南側のエリアだけを周回する「南湖一周(ナンイチ)」です。このルートの全長は約40km〜50kmと、ビワイチの中では最もコンパクトな設定になっています。

「40kmなら自転車で2時間くらいで終わっちゃうんじゃない?」と思うかもしれません。確かに距離だけ見ればその通りなのですが、南湖は滋賀県の県庁所在地である大津市や、草津市といった主要都市を含んでいるため、北湖とは全く異なる様相を呈しています。

距離は短いが、密度が濃い

琵琶湖南湖エリアの湖畔にあるカフェで休憩する、普段着の女性二人組。クロスバイクが傍らに停めてあり、背景には都市部のビル群が見える。

南湖ルート最大の特徴は、圧倒的な「交通量の多さ」と「信号の多さ」です。国道1号線や主要県道が入り組んでおり、大型トラックも頻繁に通ります。そのため、平均速度は北湖に比べてガクンと落ちます。信号待ちの時間を考慮すると、40kmを走り切るのに3〜4時間かかることもザラにあります。

しかし、南湖には距離の短さを補って余りある魅力があります。

  • 歴史的名所: 「瀬田の唐橋」や「石山寺」、「坂本城跡」など、歴史好きにはたまらないスポットが集中しています。
  • 都市型観光: おしゃれなレイクサイドカフェやショッピングモール、美術館などが多く、サイクリングの合間にカフェ巡りを楽しむといった「ポタリング(散歩的なサイクリング)」に最適です。
  • アクセスの良さ: 京都や大阪からの電車アクセスが良く、レンタサイクル店も大津駅や米原駅周辺に充実しているため、思い立ったらすぐに始められます。

「体力には自信がないけど、琵琶湖の雰囲気は味わいたい」「ガチ装備ではなく、普段着でクロスバイクやミニベロ(小径車)を楽しみたい」という方には、この南湖一周40kmコースが、距離的にも心理的にもベストな選択肢になるでしょう。ただし、車道の走行には十分注意し、怖ければ無理せず歩道(自転車走行可の場合)を徐行するようにしてくださいね。

 琵琶湖一周は何キロ?手段別の所要時間

ここまで、コースごとの「距離」について詳しく見てきました。距離感がつかめたところで、次に気になるのはやはり「時間」ですよね。「何キロあるか」と同じくらい、「何時間かかるか」は計画の成否を握る重要な鍵です。

特にビワイチのような長距離移動では、単に移動している時間だけでなく、食事やトイレ休憩、トラブル対応、そして後半のペースダウンなどを含めた「グロス(全体)の所要時間」を見積もっておく必要があります。ここでは、自転車、車、徒歩、それぞれの手段について、より具体的でシビアな所要時間の目安をお伝えします。

自転車のレベル別平均タイムと休憩設定

自転車での所要時間は、乗る人の脚力や経験値、そして使用する自転車の種類によって、倍以上の差が出ることがあります。自分のレベルを過大評価せず、余裕を持ったプランニングをすることが、完走への近道です。

レベル別・ビワイチ所要時間シミュレーション
レベル 対象コース 巡航速度 休憩頻度 総所要時間
初心者 北湖(150km) 15〜18km/h 10km毎/1時間毎 10〜12時間
中級者 北湖(150km) 20〜22km/h 20km毎/2時間毎 8時間前後
上級者 全周(200km) 25km/h以上 最小限 8〜10時間

初心者が北湖一周(150km)する場合のリアル

普段あまり自転車に乗らない方が北湖一周に挑む場合、朝7時に出発して、夕方17時〜18時にゴールできれば上出来と考えましょう。

「時速15kmなら10時間で150km走れるから、休憩してもっと早いんじゃない?」と思うかもしれません。しかし、現実はそう甘くないのです。向かい風が吹けば時速は10km台前半まで落ちますし、お尻が痛くなって休憩回数が増えることもあります。また、パンクなどのメカトラブルがあれば、修理に30分〜1時間はかかります。

おすすめの休憩ペースは「1時間に1回、10分〜15分」です。これに加えて、お昼ご飯に1時間しっかり時間を取ると、走行時間+休憩時間でトータル10時間〜12時間になるのが一般的です。日没後の走行は危険なので、ライト(前照灯と尾灯)は必ず明るいものを装備しつつ、できるだけ明るいうちにゴールできる計画を立ててください。

中級者・上級者の場合

週末に50km〜100km程度走っている中級者であれば、北湖一周は8時間程度で回れるでしょう。朝8時に出て夕方16時には戻ってこられるイメージです。いわゆる「剛脚」と呼ばれる上級者の方なら、フルビワイチ200kmを休憩込みで8時間(平均時速25km/h)で走り切る「ビワイチ・スピードラン」も可能ですが、これは公道を利用するイベントですので、タイムを競うのではなく安全第一で走るマナーが求められます。

 車移動の所要時間と観光での滞在時間

「自転車はしんどいけど、車なら快適に一周できるでしょ?」そう考えてドライブでのビワイチを計画している方も多いと思います。確かに、雨風をしのげてエアコンの効いた車内は快適そのもの。しかし、所要時間という点に関しては、意外な落とし穴があることを知っておかなければなりません。

単純に距離計算だけをすれば、琵琶湖一周200kmを平均時速50kmで走行したとして、「約4時間」という数字が弾き出されます。しかし、これは信号待ちも渋滞も、トイレ休憩すらもしない理論上の数値です。現実のビワイチドライブは、そんなにスムーズにはいきません。

観光を含めたリアルなタイムスケジュール

せっかく琵琶湖に来たのですから、ただ湖岸道路を走り抜けるだけではもったいないですよね。近江牛のランチを食べたり、湖に浮かぶ鳥居が神秘的な「白鬚(しらひげ)神社」で写真を撮ったり、メタセコイア並木を散策したりしたいはずです。そうした「観光・食事・休憩」の時間を加算していくと、所要時間は劇的に伸びます。

  • 移動時間(実走): 約5時間〜6時間(信号待ちや軽い混雑を含む)
  • 食事(ランチ・カフェ): 約1.5時間〜2時間
  • 観光(3〜4スポット): 約1.5時間〜2時間
  • 合計所要時間: 約8時間〜10時間

つまり、車であっても朝9時に出発して、戻ってくるのは夕方18時か19時頃になるのが一般的なんです。「自転車の北湖一周」と所要時間がほとんど変わらない、というのは驚きかもしれませんね。

絶対に知っておくべき「渋滞」のリスク

さらに、ドライブ計画を狂わせる最大の要因が「渋滞」です。特に週末や連休の湖西エリア(琵琶湖の西側)は要注意です。

国道161号線、特に白鬚神社周辺は、片側一車線の道路に観光客の車と横断する歩行者が集中するため、数キロ進むのに1時間近くかかるような激しい渋滞が頻発します。また、夕方になると京都方面へ帰る車で「湖西道路」が大渋滞し、そこから抜けるのにさらに時間を要します。「たかが200km」と侮っていると、帰宅が深夜になってしまうことも…。

ドライブのアドバイス
渋滞を避けるための鉄則は「反時計回り」かつ「早朝出発」です。そして、混雑しやすい湖西エリア(白鬚神社やマキノ方面)を午前中の早い時間に通過してしまうルート取りがおすすめです。夕方の湖西道路の渋滞にはまると、逃げ道がほとんどないので覚悟が必要です。

徒歩で一周する場合に必要な日数と時間

夕暮れ時の琵琶湖岸を、大型のバックパックを背負って歩く男性ハイカーの姿。疲労の色が見えるが、前を見据えて歩を進めている。

「歩いて琵琶湖を一周する」。それは現代に残された数少ない冒険の一つかもしれません。自転車や車があっという間に通り過ぎてしまう景色も、歩く速度ならじっくりと味わうことができます。しかし、その代償として必要になるのが、膨大な「時間」と「日数」です。

先ほどもお伝えした通り、距離は約200km。これを成人の標準的な歩行速度(時速4km)で割ると、単純計算で50時間歩き続けることになります。ですが、これには食事や休憩、信号待ち、そして何より「疲労によるペースダウン」が含まれていません。

現実的な1日の限界距離

重いバックパックを背負ってのアスファルト歩行は、想像以上に足腰へのダメージがあります。普段から健脚な方でも、1日に歩ける距離の限界は30km〜40kmと考えた方が安全です。

仮に1日35km進むとしましょう。これを時速4kmで割ると約9時間。休憩や食事を含めると、朝8時に出発して宿に着くのは夕方18時頃になります。これを毎日繰り返すのです。

徒歩ビワイチの日程モデル
プラン 1日の距離 必要日数 備考
健脚プラン 約40km 5日間 かなりハード。マメや故障のリスク高
標準プラン 約30km 7日間 観光も少し楽しめる現実的なペース
ゆったりプラン 約20〜25km 8〜10日間 体力に自信がない方向け

宿泊場所の確保が最大の難関

徒歩ビワイチで最も気をつけなければならないのが、「歩きたい距離の地点に、都合よく宿があるとは限らない」という点です。

例えば、長浜から木之本、さらにその先の海津大崎周辺にかけての湖北エリアは、宿泊施設が点在しており、ルートから数キロ離れていることも珍しくありません。自転車なら10分の距離でも、徒歩なら往復1時間のロスになります。この「宿へのアプローチ距離」が積み重なり、最終的に220km以上歩くことになるケースが大半です。

また、コンビニやトイレが10km以上ない「補給の空白地帯」も存在します。水分や食料が尽きると命に関わるため、事前の地図確認は自転車以上にシビアに行う必要があります。「今日は行けるところまで行こう」という無計画な歩き方は、野宿のリスクを高めるので絶対に避けてください。

分割歩き(セクションハイク)のススメ
一度に5日間の休みを取るのは難しいですよね。多くの徒歩ビワイチ達成者は、「今週は長浜まで、来月は長浜からマキノまで」といった具合に、数ヶ月〜1年かけて少しずつ歩く「分割ビワイチ」を楽しんでいます。これなら宿の心配も減り、季節ごとの琵琶湖を楽しめますよ。

ロードバイクなど車種による時間の差

最後に、自転車の種類による所要時間の違いについて深掘りしておきましょう。「どんな自転車でも変わらないでしょ?」と思うなかれ。機材の選択は、ビワイチの難易度と所要時間を大きく左右します。

1. ロードバイク:最速の翼

琵琶湖の平坦な湖岸道路を、ロードバイクで高速走行するサイクリストの様子。前傾姿勢でスピード感があり、背景が流れるように写っている。

ビワイチにおいて最強の相棒となるのがロードバイクです。細いタイヤ、前傾姿勢、軽量な車体は、すべて「速く、遠くへ」行くために設計されています。

  • 巡航速度: 25km/h前後
  • 北湖一周所要時間: 約6〜8時間(休憩込)

ロードバイクなら、向かい風の影響も最小限に抑えられますし、何より「進む楽しさ」が段違いです。日帰りでフルビワイチ(200km)を目指すなら、実質的にロードバイク一択と言っても過言ではありません。

2. クロスバイク:安定の万能選手

レンタサイクルで最もポピュラーなのがクロスバイクです。ロードバイクほどのスピードは出ませんが、タイヤが少し太めで安定感があり、楽な姿勢で乗れるため、初心者でも扱いやすいのが特徴です。

  • 巡航速度: 18〜20km/h前後
  • 北湖一周所要時間: 約8〜10時間(休憩込)

初めてのビワイチなら、まずはクロスバイクから始めるのがおすすめです。スピードを出しすぎず、景色を楽しみながら走るのにちょうど良いペースで進めます。

3. E-Bike(電動アシスト):坂道の救世主だが…

スポーツタイプのE-Bike(電動アシスト自転車)に乗り、笑顔で坂道を登る女性の様子。背景には琵琶湖の景色が広がっており、電動アシストによる快適なサイクリングを表現している。

最近人気のE-Bike(スポーツタイプの電動アシスト自転車)。「電動なら一番速いのでは?」と思われがちですが、実はそうとも限りません。

日本の法律では、時速24kmでアシストが切れるようになっています。つまり、平坦な道でそれ以上のスピードを出そうとすると、ただの「めちゃくちゃ重い自転車」になってしまうのです。ビワイチは平坦な道が多いため、ロードバイクの方が平均速度は速くなる傾向にあります。

  • 巡航速度: 18〜22km/h前後(アシスト範囲内)
  • 北湖一周所要時間: 約8〜10時間(休憩込)

ただし、E-Bikeの真価は「疲れにくさ」にあります。琵琶湖大橋の登りや、向かい風の区間でも、平地と同じ感覚でスイスイ進めるのは感動ものです。体力に不安があるけれど完走したいという方には、最強の武器になるでしょう。

E-Bikeのバッテリー問題
E-Bikeでビワイチ(特に150km以上)をする場合、バッテリーの持ちが最大の課題です。「エコモード」なら100km以上走れる機種もありますが、常時「パワーモード」で走ると途中で電池が切れます。充電器を持参して昼食時に充電させてもらうか、予備バッテリーをレンタルできるか、事前にお店に確認することが必須です。

琵琶湖一周は何キロかを踏まえた計画まとめ

ここまで、琵琶湖一周の「距離」と「時間」について、あらゆる角度から解説してきました。最後に、あなたがこれから計画を立てるための重要なポイントをまとめておきます。

1. 「200km」か「150km」か、自分の定規を決める
まずは、完全制覇(200km)を目指すのか、美味しいとこ取りの北湖一周(150km)にするのかを決めましょう。初心者の方、特に初めての長距離サイクリングなら、迷わず「北湖一周(150km)」をおすすめします。達成感は十分にありますし、何より安全に楽しめます。

2. 距離を「時間」に変換してスケジュールを組む
「150km」という数字を見るのではなく、「自転車に乗っている時間が8時間、休憩が2時間、合計10時間」というふうに、時間で行程をイメージしてください。朝7時に出れば夕方17時。これなら日没にも間に合いそうですね。余裕を持ったスケジュールこそが、トラブル時の保険になります。

3. 手段と装備を最適化する
自分の体力と目的に合った移動手段を選びましょう。速さを求めるならロードバイク、快適な旅ならE-Bike、観光メインなら車。それぞれの手段には、それぞれの「距離の感じ方」があります。

ビワイチは、単なる数字以上の感動を与えてくれる素晴らしいルートです。しっかりとした準備と、自分のペースを守る勇気があれば、きっと最高の思い出になるはずです。さあ、あなたも琵琶湖の風を感じに、出かけてみませんか?

公式情報もチェック!
最新のルート状況や通行止め情報、レンタサイクルの詳細などは、滋賀県や観光協会が運営する公式サイトで必ず確認してくださいね。

(出典:滋賀県公式ビワイチ観光情報サイト『ビワイチプラス』

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