こんにちは。RO-KIです。滋賀県に住んでいると、ふとした瞬間に「あ、琵琶湖のあの景色が見たいな」と思うことがあるんですが、その中でも特に神秘的な雰囲気を持っているのが竹生島ですよね。「神の住む島」としてパワースポット巡りでも大人気ですが、せっかく船に乗って非日常の世界へ行くなら、現地の美味しいグルメも余すことなく楽しみたいというのが本音ではないでしょうか。
「竹生島で食べ歩きってできるの?」「ランチはお店があるのかな?」と、島内のお店事情や、長浜港や今津港といった周辺エリアの情報も含めて気になっている方も多いと思います。実は、竹生島での食事には、島の地形や船の時間制限といった特殊な事情が絡んでくるため、少しばかり「コツ」が必要なんです。何も知らずに行くと、「時間がなくて何も食べられなかった!」なんてことになりかねません。
この記事では、私が実際に現地をリサーチして感じた、島内グルメの賢い楽しみ方や、乗船前後に立ち寄りたい周辺のおすすめランチスポットについて、実体験を交えながら詳しくご紹介していきたいと思います。食を通じて、竹生島の旅をもっと深く、思い出深いものにしていきましょう。
- 島内で楽しめる限定の食べ歩きグルメとスイーツ情報
- 滞在時間を考慮した効率的な食事プランの立て方
- 長浜・今津・彦根各港周辺のおすすめランチスポット
- 旅の思い出に持ち帰りたいお土産とテイクアウト情報
竹生島での食べ歩きと島内グルメ

※画像はイメージです
まずは竹生島に上陸してから楽しめるグルメについてご紹介します。正直にお伝えすると、竹生島は小さな無人島(夜間は神職の方なども島を出ます)なので、飲食店が軒を連ねているわけではありません。しかし、だからこそ「ここでしか味わえない」ユニークで希少なご当地メニューが揃っているんです。限られた時間の中で、どのような美味しいものに出会えるのか、その全貌を見ていきましょう。
滞在時間と竹生島ランチの注意点
竹生島へ行こうと計画している方に、まず何よりも先に知っておいていただきたいのが、島での「滞在時間」と「ランチ」のシビアな関係です。琵琶湖汽船やオーミマリンなどの観光船を利用して島に渡る場合、一般的に島内での滞在時間は80分から90分程度に設定されている便がほとんどなんですよね。
「90分もあるなら、ゆっくりご飯を食べて、観光もできる余裕があるんじゃない?」と思われるかもしれません。私自身、最初はそう思っていました。しかし、実際に島に降り立つと、この90分という時間が驚くほどタイトであることに気づかされます。
まず、港から国宝である宝厳寺(ほうごんじ)の本堂へ向かうには、名物の「祈りの階段」と呼ばれる165段の急な石段を登らなければなりません。この階段が結構な急勾配で、普段運動習慣のある私でも息を切らしながら登ることになります。これだけで片道15分から20分は見ておいた方が良いでしょう。さらに、本堂でのお参り、国宝の唐門や重要文化財の舟廊下の見学、そして都久夫須麻神社(竹生島神社)での参拝と続きます。都久夫須麻神社では、有名な「かわらけ投げ」も絶対に外せないイベントですよね。願い事を書いた土器(かわらけ)を鳥居に向かって投げる体験ですが、これが意外と難しくて、何度も挑戦したり写真を撮ったりしていると、あっという間に時間が過ぎていきます。
ここが注意点
これら一通りの観光コースを巡るだけで、スムーズに行っても60分から70分はかかります。つまり、残されたフリータイムは実質10分から20分程度しかない計算になるんです。この短い時間で、注文してから料理が出てくるのを待ち、ゆっくりと食事をする「本格的なランチ(定食や会席料理など)」をとることは、次の便まで滞在時間を延長しない限り、現実的にはかなり厳しいと言わざるを得ません。
また、島の地形的な制約も理解しておく必要があります。竹生島は全体が急峻な岩山で構成されており、平らな場所は港周辺のわずかなエリアに限られています。飲食ができるお店やベンチもこのエリアに集中しており、階段の途中や神社の境内で物を食べることはマナー違反ですし、安全上のリスクもあります。
さらに、島内でのゴミ処理能力には限りがあります。最近の観光地ではどこもそうですが、特に離島である竹生島では「ゴミは持ち帰るか、購入したお店に引き取ってもらう」のが基本ルールです。食べ歩きをする際も、ゴミをポイ捨てしないよう、ゴミ袋を持参するなど配慮が必要です。
こうした事情を踏まえると、竹生島での食事戦略の正解が見えてきます。それは、「島内ではサッと食べられる『軽食(スナック)』や『テイクアウトグルメ』を中心に楽しみ、本格的な食事は港に戻ってからとる」というスタイルです。これなら、限られた時間を有効に使いつつ、島の味覚もしっかり堪能できますよ。
野坂みやげ店の名物弁天あげもち

竹生島に降り立って、入島料を支払う受付所に向かう参道の途中、左手に見えてくるのが「野坂みやげ店」です。創業から70年以上という歴史を持つこのお店は、まさに昭和の観光地といった懐かしい風情が漂っていて、個人的に大好きな雰囲気です。ここで絶対に食べておきたいのが、竹生島食べ歩きの代名詞とも言える名物、「弁天あげもち」ですね。
「弁天あげもち」とは、蒸したジャガイモを潰して片栗粉などを混ぜて作ったお餅(いわゆる「いももち」)を油でカラッと揚げ、特製の甘辛い醤油ダレにくぐらせた一品です。仕上げに海苔が巻いてあるのですが、この見た目がまた食欲をそそるんですよね。
実際に食べてみると、その食感のコントラストに驚きます。揚げたての表面は「カリッ」としていて香ばしく、中はジャガイモの風味が生きている「モチモチ」とした食感。そこに甘じょっぱいタレがしっかりと絡んでいて、一口食べるごとに幸せな気分になります。特に、あの長い石段を登り降りして少し疲れた体には、この甘辛い味が染み渡るように美味しく感じられるんです。糖分と塩分を欲している体に、これ以上ないご褒美と言えるかもしれません。
おすすめポイント
価格も1個200円〜250円ほど(時期により変動あり)と非常にリーズナブル。観光地価格を感じさせない手頃さなので、参拝の帰り道に「ちょっと小腹が空いたな」と思った時に、ついふらっと立ち寄って買ってしまう「インパルス・バイイング(衝動買い)」にぴったりな商品です。
商品名に、竹生島の祭神である「弁天様」の名前を冠しているところもポイントが高いですよね。単なるおやつではなく、食べること自体が参拝体験の一部であり、一種の「縁起物」を体内に取り入れるような感覚になれます。「これを食べれば弁天様のご利益があるかも?」なんて思いながら、お店の前のベンチに座って琵琶湖を眺めつつ頬張るのが、竹生島観光の醍醐味の一つかなと思います。
また、野坂みやげ店はお店の方もとても気さくで、島の歴史や天候のことなど、ちょっとした会話を楽しめるのも魅力です。古き良き日本の観光地の温かさを感じられるスポットですね。
絶品滋賀おでんで地域を味わう

「野坂みやげ店」でもう一つ、絶対に見逃せないのが「滋賀おでん」です。特に秋から冬、春先にかけての肌寒い季節や、湖上の冷たい風に吹かれた後には、湯気の立つおでん鍋を見るだけで引き寄せられてしまいます。
この「滋賀おでん」の最大の特徴は、名前の通り滋賀県ならではの特産品が具材として使われている点です。一般的なおでんとは一味違う、地域性豊かなラインナップを楽しむことができます。
1. 赤こんにゃくの衝撃
まず目を引くのが、真っ赤な色をした「赤こんにゃく」です。滋賀県外から来た方は「えっ、これ唐辛子で辛いの?」と驚かれることが多いですが、実はこの赤色は三二酸化鉄(ベンガラ)によるもので、辛味は全くありません。鉄分を含んでいるので、貧血気味の方にも嬉しい食材なんですよ。一説には、派手好きだった織田信長が「こんにゃくまで赤く染めろ」と命じたのが始まりとも言われています。普通のこんにゃくよりも水分が少なく、気泡が多いため、プリプリとした独特の弾力があり、出汁がよく染み込むのが特徴です。
2. 四角い丁字麩(ちょうじふ)
次に特徴的なのが、四角い形をしたお麩「丁字麩」です。近江八幡などが発祥とされるこのお麩は、かつて行商人が持ち運びしやすいように、丸い形から四角い形に改良されたという歴史的背景を持っています。煮崩れしにくく、おでんの美味しい出汁をこれでもかというほど吸い込んでいるので、口に入れた瞬間にジュワッと旨味が溢れ出します。
3. 濃厚な伊吹たまご
そして、おでんの定番である卵には、伊吹山麓の豊かな自然環境で育まれた「伊吹たまご」が使用されています。黄身の味が濃く、しっかりとしたコクがあり、おでん出汁との相性も抜群です。
味わいのポイント
これらのおでん種には、お好みで「柚子味噌」か「辛子」をつけていただくのですが、私は断然「柚子味噌」をおすすめします。爽やかな柚子の香りが、出汁の優しい味わいを引き立ててくれて、上品な京風おでんのような雰囲気を醸し出してくれるんです。
価格も3品セットで450円〜500円程度と、ご当地グルメを一度に味わえるセットとしては非常にコストパフォーマンスが高いと言えます。熱々のおでんをハフハフしながら食べる時間は、心も体も温まる至福のひとときです。
ここやで味わう高級近江牛まん

出典: Cafe&shop ここや
「野坂みやげ店」が昭和のレトロな魅力を放っているのに対し、2017年にオープンした「Cafe & Shop ここや」は、令和のモダンな感性を取り入れたスタイリッシュなお店です。木目を基調とした店内は明るく開放的で、手ぬぐいをインテリアとして活用した和モダンな空間演出が、若いカップルや女性グループにも大人気です。
そんな「ここや」で、お腹をしっかり満たしたい方に全力でおすすめするのが、「近江牛まん」です。滋賀県に来たからには、やっぱり「近江牛」を食べておきたいですよね。
近江牛といえば、神戸牛や松阪牛と並ぶ日本三大和牛の一つであり、その歴史は400年以上と最も古いと言われています。江戸時代、まだ食肉の習慣がなかった頃に、彦根藩が「養生薬(薬)」という名目で味噌漬けの牛肉を将軍家に献上していたという記録があるほど、由緒正しいブランド牛なんです。その特徴は、きめ細かい霜降り(サシ)と、低い温度でも溶け出す脂の甘みにあります。
「ここや」の近江牛まんは、この高級食材である近江牛の旨味を、手軽な「中華まん」というスタイルに凝縮した戦略的な一品です。価格は1個600円ほど。コンビニの肉まんと比べれば確かに高価ですが、お店で近江牛のステーキやすき焼きを食べようと思えば数千円から数万円は覚悟しなければなりません。そう考えれば、600円で最高級ブランド牛の味わいを体験できるのは、むしろリーズナブルと言えるのではないでしょうか。
味の実力
実際に割ってみると、中からは食欲をそそる湯気とともに、濃厚な肉の香りが漂ってきます。餡には近江牛がたっぷりと使われており、一口食べればジューシーな肉汁と、近江牛特有の甘みのある脂が口いっぱいに広がります。皮もふっくらとしていて甘みがあり、濃厚な餡とのバランスが絶妙です。
サイズも一般的な肉まんより一回り大きめなので、かなりの満足感があります。カップルや友達同士なら、半分こしてシェアして食べるのも良いですね。お店ではドリンクとのセット(1,000円程度)も用意されているので、店内のカフェスペースで琵琶湖を眺めながら、ちょっとリッチな休憩タイムを過ごすのもおすすめです。
弁天様アイスなど人気スイーツ

出典: Cafe&shop ここや
美味しいおでんや肉まんを食べた後は、やっぱり甘いデザートで締めくくりたいですよね。竹生島には、目でも舌でも楽しめる魅力的なスイーツが揃っています。
まずご紹介したいのが、「Cafe & Shop ここや」の看板スイーツである「弁天様アイスもなか」です。この最中の最大の特徴は、なんといってもその「食感」へのこだわりです。作り置きをするのではなく、注文を受けてから一つひとつ丁寧にアイスを充填してくれるため、最中の皮が水分を吸って湿気ることなく、「パリッパリ」の香ばしい状態を楽しむことができるんです。
しかも、この最中の皮には、高級和菓子にも使用される滋賀県産のブランドもち米「滋賀羽二重もち米」が使われています。きめ細かく、口溶けの良い皮は、それ自体が上質なお菓子のようです。中身のアイスはバニラや抹茶などから選べるのですが、温かい最中の皮と冷たいアイスの温度差(ヒヤアツ感)がたまりません。
そして、女子旅やカップルに支持されている理由が、そのビジュアルです。最中の皮には、可愛らしくデフォルメされた弁天様のイラストが描かれており、食べるのがもったいないほどのキュートさ。青い琵琶湖や朱色の鳥居を背景にこの最中を持って写真を撮れば、間違いなくSNS映えする一枚になります。InstagramなどのUGC(ユーザー生成コンテンツ)でもよく見かける、竹生島スイーツのアイコン的存在ですね。
| 店舗 | メニュー名 | 特徴・魅力 |
|---|---|---|
| ここや | 弁天様アイスもなか | パリパリの皮と冷たいアイス。写真映え間違いなし。 |
| ここや | ラテアートドリンク | 弁天様やダルマの絵柄が描かれたカフェラテ。旅の疲れを癒やす一杯。 |
| 野坂みやげ店 | とうふミルクソフト | ヘルシーな豆腐の風味とミルクのコクがマッチした優しい味。 |
| 野坂みやげ店 | 金ごまソフト | 香ばしい胡麻の香りが濃厚。和風スイーツ好きにおすすめ。 |
また、お酒が好きな方には、「ここや」で提供されているクラフトビール「長濱浪漫ビール(長浜IPA)」も密かな人気メニューです。車ではなく船でアクセスする竹生島だからこそ、ドライバーに気兼ねなく「昼飲み」ができるのも嬉しいポイントですよね。琵琶湖の絶景を眺めながら飲むビールは、まさに大人の贅沢と言えるでしょう。
港周辺と竹生島の食べ歩きコース
ここまで島内のグルメ情報をお伝えしてきましたが、ここからは視点を少し広げて、「竹生島へのアプローチ拠点となる港町」も含めた、拡張された食べ歩き戦略をご提案します。先ほどお話しした通り、島内での食事は軽食中心になりがちです。だからこそ、「行きの船に乗る前の腹ごしらえ」や、「帰りの船から降りた後の遅めのランチや夕食」で、各エリアの名物をガッツリ楽しむのが、満足度を最大化する秘訣なんです。
長浜、今津、彦根。それぞれの港周辺には、全く異なる個性を持ったグルメ文化が根付いています。あなたの旅のルートに合わせて、最適なランチスポットを選んでみてください。
長浜黒壁スクエア周辺のグルメ
竹生島へ渡る観光客の中で、最も利用者が多いのが長浜港です。この長浜港から徒歩圏内、あるいは車で数分の場所にあるのが、滋賀県内屈指の観光スポット「黒壁スクエア」です。江戸〜明治時代の古い建物を活用したガラスショップやカフェが立ち並ぶこのエリアは、まさに食べ歩きの聖地と言えます。
1. 郷土料理の傑作「焼鯖そうめん」

長浜に来たら絶対に外せないのが、「焼鯖そうめん」です。特に有名なのが老舗の「翼果楼(よかろう)」さん。この料理、初めて見る方は驚くかもしれません。なんと、そうめんが汁に入っているのではなく、甘辛い煮汁で炊き込まれたそうめんの上に、大きな焼鯖がドーンと乗っているんです。
これは湖北地方に伝わる「五月見舞い」という風習に由来します。農繁期に、農家に嫁いだ娘のもとへ実家から焼鯖を届ける習慣があり、忙しい合間でも手軽に栄養が取れるようにと、鯖と一緒にそうめんを煮込んで保存食のようにして食べたのが始まりだそうです。鯖は骨までホロホロになるほど煮込まれており、その旨味を吸い尽くしたそうめんは、ご飯のおかずになるほど濃厚な味わいです。築200年の元呉服問屋を改装した店内でいただけば、歴史の重みと共に滋賀の食文化を深く理解できるはずです。
2. 行列必至の「親子丼」

もう一つ、長浜のランチで行列が絶えないのが「鳥喜多 本店」の「親子丼」です。ここの親子丼はビジュアルが独特で、出汁で軽く煮た鶏肉と卵の上に、さらに生の卵黄がポコンと乗っています。この生卵を崩しながら食べるスタイルがたまりません。
650円〜700円程度という、現代においては驚異的なコストパフォーマンスも人気の秘密。お店の回転が比較的早いので、船の出航時間まであまり余裕がない時でも、サクッと美味しいものを食べたいというニーズに応えてくれます。
3. 軽食・食べ歩きアイテム
黒壁スクエアには、他にも魅力的な食べ歩きグルメが満載です。「つるやパン まるい食パン専門店」では、滋賀県民のソウルフード「サラダパン」で有名なつるやパンの2号店として、丸い食パンを使ったサンドイッチやラスクを提供しています。また、「96CAFE(クロカフェ)」の真っ黒なソフトクリーム「黒壁ソフト」は、竹炭を使用したインパクト抜群の見た目で、旅の記念写真には欠かせないアイテムです。
今津港周辺で楽しむ鰻とそば
京都や大阪方面からのアクセス拠点となる今津港がある湖西エリアは、古くからの宿場町として栄えた歴史を持ち、独自の食文化が色濃く残る場所です。このエリアでグルメを語るなら、絶対に外せないのが「鰻(うなぎ)」の存在です。
「なぜ琵琶湖で鰻?」と思われるかもしれませんが、滋賀県の湖西地域は水が非常に清らかで、古くから川魚料理が盛んでした。その伝統を受け継ぐ名店が、今津港周辺には点在しているんです。特に有名なのが「西友(にしとも)本店」や「川魚の店 丁子屋」といった老舗です。
ここの鰻の特徴は、関西風の「地焼き」であること。関東のように一度蒸してから焼くのではなく、生の鰻をそのまま炭火でじっくりと焼き上げます。そのため、皮はパリッと香ばしく、身は脂が乗ってふっくらとした食感になります。炭火の香ばしい匂いが漂う店内で、秘伝のタレがたっぷりかかった鰻重を頬張る瞬間は、まさに至福です。
ひつまぶしスタイルがおすすめ

特に「西友」のひつまぶしは人気が高く、1杯目はそのまま鰻の味を楽しみ、2杯目は薬味を乗せて、3杯目は出汁をかけてお茶漬け風にするという、一度で三度美味しい食べ方が楽しめます。旅の疲れが出始める頃に、サラサラとかき込める出汁茶漬けは胃袋にも優しくて最高ですよ。
また、「船の時間まであまり余裕がないけれど、せっかくだからご当地らしいものを食べたい」という方には、今津港のりばから徒歩約15秒という驚異的な立地にある「ひょうたん亭」の「お蕎麦」が救世主となります。ここは琵琶湖汽船が運営に関わっていることもあり、乗船客の利用を想定したスピーディーな提供が魅力です。
名物の「周航そば」は、琵琶湖周航の歌にちなんだメニューで、旅情を誘います。窓際の席からは琵琶湖の穏やかな湖面を眺めることができ、これから向かう竹生島への期待感を高めながら、ツルッとお蕎麦を手繰ることができます。近江牛を使ったメニューもあるので、湖西ルートで竹生島を目指す方にとっては、非常に使い勝手の良い「食のベースキャンプ」と言えるでしょう。
彦根港近くの近江ちゃんぽん

国宝・彦根城とセットで竹生島を訪れる方が多い彦根ルート。城下町の風情が残るこのエリアにも、観光客を唸らせる絶品グルメが潜んでいます。その筆頭が、彦根市民のソウルフードとして愛され続けている「近江ちゃんぽん」です。
「ちゃんぽん」と聞くと、白濁した豚骨スープの長崎ちゃんぽんをイメージする方が多いと思いますが、彦根のそれは全くの別物です。ルーツは昭和38年に創業した「麺類をかべ」にあり、現在は「ちゃんぽん亭総本家」などがその味を全国に広めています。最大の特徴は、カツオや昆布などから引いた京風の「和風出汁」をベースにした、黄金色に透き通ったスープです。
この上品で優しいスープに、豚肉やキャベツ、キクラゲなどの野菜がたっぷりと乗せられており、中華麺と一緒に煮込むことで野菜の甘みがスープに溶け出しています。あっさりとしているのにコクがあり、毎日食べても飽きない味とはまさにこのこと。老若男女問わず美味しく食べられるのが魅力ですね。
地元流!お酢で味変
近江ちゃんぽんを食べる際にぜひ試していただきたいのが、卓上に置かれた「お酢」を使った味変(あじへん)です。半分ほど食べたところでお酢をレンゲ一杯分ほど回し入れると、スープの角が取れてさらにまろやかになり、サッパリとした味わいに変化します。これが驚くほど合うんです。「お酢を入れるのが通の食べ方」と言われているので、ぜひチャレンジしてみてください。
そして、彦根でお腹を満たした後に立ち寄りたいのが、バームクーヘンで全国的な知名度を誇る「クラブハリエ」の店舗、「彦根美濠の舎(みほりのや)」です。彦根城のお堀のすぐそばに佇むこの店舗は、城下町の景観に配慮した重厚な日本建築のような外観で、一歩足を踏み入れるとそこは洋菓子の夢の国。
併設されたカフェでは、焼きたてのバームクーヘンや、季節のケーキをこだわりの紅茶と共に楽しむことができます。竹生島での階段昇降で疲れた体を、上質な甘さと優雅な空間が癒やしてくれること間違いなしです。彦根港からのアクセスも良いので、船を降りた後の「ご褒美タイム」としてスケジュールに組み込んでおくことを強くおすすめします。
おすすめのお土産とテイクアウト
竹生島での楽しい時間の余韻を自宅まで持ち帰るため、あるいは留守番をしている家族や友人へのお裾分けとして、お土産選びは旅の重要な締めくくりですよね。「現地で食べる時間がなかった!」という場合でも、テイクアウトやお土産を賢く活用すれば、滋賀の食文化を十分に堪能することができます。
まず、竹生島の「野坂みやげ店」で購入できるおすすめ土産といえば、「ねがいだるま」です。これは竹生島で奉納される「弁天様の幸せ願いダルマ」をモチーフにしたミルク饅頭で、コロンとした丸いフォルムと愛らしい表情が特徴です。中には優しい甘さのミルク餡が詰まっており、万人受けする味わいなので、職場や学校への「配り土産」としても重宝します。「竹生島に行ってきました!」という話のネタにもなりやすいですよね。
甘いものが苦手な方や、お酒が好きな方へのお土産なら、「湖魚の佃煮」で決まりです。琵琶湖は淡水魚の宝庫。特に「小鮎(こあゆ)」や「ゴリ(ウロリ)」、「イサザ」などの佃煮は、滋賀県の食卓には欠かせない郷土の味です。野坂みやげ店や各港の売店では、地元の職人が炊き上げた佃煮が数多く販売されています。
琵琶湖の小鮎は、海に下りずに湖で育つため、骨や皮が柔らかく、丸ごと食べられるのが特徴です。甘辛く炊き上げられた小鮎のほろ苦さは、炊きたての白いご飯に乗せても最高ですし、日本酒の肴としても絶大な威力を発揮します。自宅に帰ってから、佃煮をつまみながら滋賀の地酒をちびちびやる……なんていうのも、旅の余韻を楽しむ大人ならではのスタイルかなと思います。
テイクアウト時のマナーと注意点
「Cafe & Shop ここや」の近江牛まんや、「野坂みやげ店」の弁天様せんべいなどはテイクアウトもしやすいですが、帰りの船内で食べる際は、周囲の方への配慮(匂いや音)を忘れないようにしましょう。また、竹生島内で発生したゴミは、基本的には購入店に返却するか、本土(港)まで持ち帰るのがルールです。美しい景観と神の島を守るためにも、ゴミ袋を一枚持参しておくとスマートですね。
また、自分への記念品として人気なのが、「ここや」オリジナルの手ぬぐいです。食べ物ではありませんが、竹生島の風景や弁天様がデザインされた手ぬぐいは、日常使いもできて旅の思い出が形として残ります。お弁当を包んだり、インテリアとして飾ったりと用途も広いので、ぜひチェックしてみてください。
竹生島を食べ歩きで満喫しよう
ここまで、竹生島島内での食べ歩きグルメから、長浜・今津・彦根という各港周辺の本格ランチ情報、そして旅の思い出となるお土産まで、たっぷりとご紹介してきました。
竹生島観光において最も重要なポイントは、「80分〜90分という限られた滞在時間をどう配分するか」に尽きます。急な階段や多くの見どころがある島内では、ゆっくりと腰を据えてランチをとる時間はほとんどありません。だからこそ、島内では「弁天あげもち」や「近江牛まん」といったワンハンドで楽しめる軽食(スナック)で小腹を満たしつつ、その土地ならではの「食体験」を重ねるスタイルが最適解となります。
そして、船に乗る前や降りた後の時間を活用して、港町の歴史あるお店で「焼鯖そうめん」や「鰻」、「近江ちゃんぽん」といった滋賀を代表する味覚をじっくりと堪能する。この「島内軽食 + 港周辺ランチ」という二段構えのプランニングこそが、竹生島への旅を何倍も充実させる秘訣です。
神聖な空気の中でパワーをいただき、美味しいものでお腹も心も満たす。そんな贅沢な休日を過ごしに、ぜひ竹生島へ出かけてみてください。きっと、写真やガイドブックだけでは伝わらない、五感を震わせるような素晴らしい体験があなたを待っているはずです。
それでは、良い旅を!滋賀県でお待ちしています。
※記事内で紹介したメニューや価格はリサーチ時点のものです。季節やお店の都合により変更になる場合があるため、最新情報は各店舗の公式サイトなどでご確認ください。